急性心筋梗塞について|神奈川県で循環器の救急や症状ことならK-Activeへ

心筋梗塞 急性心筋梗塞について

心筋梗塞とは

心臓を栄養する冠動脈
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プラーク破綻による心筋梗塞発症
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心臓の筋肉は主に3本の冠動脈という血管により栄養をうけています(図1)。心筋梗塞とは、多くはその冠動脈に存在するプラークという動脈硬化部位が破綻し血の塊ができて詰まってしまい、その先の心臓の筋肉に血液が行かなくなり筋肉が死んでしまうことをいいます(図2)。急におこるものを急性心筋梗塞、おこってから1か月以上経過したものを陳旧性心筋梗塞といっており、急性心筋梗塞が即座に命にかかわる緊急事態で全体での死亡率は30%近くに及ぶといわれています。例えば手の指を栄養する血管が詰まってしまった場合はその指のみが死んでしまい全身には影響を及ぼすことは少ないですが、心臓の場合は、全身に血液を送る臓器ですので、血圧が下がり全身に対する十分な血液がおくれなくショック状態になったり心不全を起こし命をおとすことがあります。また、死にゆく心臓の筋肉からAED(自動体外式除細動器)(図3)を使用しなければならないような重篤な不整脈が発生し命をおとすこともあります。

狭心症は、血管が詰まるのではなく動脈硬化により冠動脈が狭くなったり(図4)痙攣をおこし血流の流れが悪くなる(冠攣縮)(図5)ことにより症状がでる病気のことをいい、不安定化しないかぎり即座には命にかかわりませんが、病院の外来を受診し精密検査をする必要がある病気です。

AED(自動体外式除細動器)
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冠動脈硬化
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冠攣縮
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心筋梗塞の症状

心筋梗塞の典型的な症状は持続する胸の圧迫感や痛みです。冷や汗がでたり気分が悪くなったりすることもあります。時には胸の痛みではなく左腕やあごが痛くなることがありますが、少なくとも10分以上は持続し数秒や1分以内に痛みがとれることはありません。但し、特にお年寄りや糖尿病の患者さんでは強い痛みがでないこともありますので要注意です。

心筋梗塞の治療

急性心筋梗塞をおこしたら、できるだけ早期に詰まっている血管の流れをもとに戻す治療が必要です。現在はほとんどの患者さんに緊急で心臓カテ―テル治療が行われ詰まっている血管にステントという金属のつつ(図6)(図7a,b,cc)をいれて血管の流れを戻します。血栓溶解薬という血の塊を溶かす薬が使われたり、冠動脈バイパス術が行われることもあります。その後はCCUという冠動脈集中治療室で心不全や不整脈の様な合併症が起きないように管理を行います。軽い心筋梗塞では数日で退院できますが、合併症がおきた患者さんでは1か月以上の入院が必要であり、現在でも5-10%の患者さんは病院に無事たどりつけたにも拘わらず入院中に命をおとしてしまいます。

心筋梗塞に対するカテーテルステント留置術
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ステントを血管内に挿入
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ステントを拡張し展開
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ステントをのせていたバルーンを抜去
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早期の救急車コールの重要性

急性心筋梗塞患者に対する再灌流までの時間目標
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心筋梗塞の治療の際に最も重要なことは、1分1秒でも早く血流を再開することです。よって、救急隊の隊員は患者さんから通報をうけたらできるだけ早く病院に搬送し、我々病院のスタッフはできるだけ早くカテーテル治療を行い血流の再開を試みます(図8)。但し、いくら我々が頑張っても肝心の患者さんが救急車を呼ぶのを我慢し、結果的に命をおとすこともよくあります。よって、いままでに体験したようなことがない胸の痛みやからだの変調を感じたら迷わず救急車を呼んでください。救急隊が患者さんの症状を聞き場合によっては心電図を記録し、適切な病院にはこんでくれます。

心筋梗塞発症予防の重要性

心筋梗塞や狭心症は虚血性心疾患を呼ばれますが、病気の原因は動脈硬化です(図4)。動脈硬化の原因は、年齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満等です。高齢になっていくことは誰でも避けえぬことですが、喫煙や肥満は自己管理により解決可能です。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症に関しても食事療法や運動療法である程度改善は可能ですし、かかりつけ医を作って薬剤の管理を追加してもらうことで、虚血性心疾患の予防が可能です。神奈川県がかかげている「未病を治すかながわ宣言」は食事や運動習慣などのライフスタイルを見直すことによって,未病から健康な状態に戻していくというもので、生活習慣病の前段階を扱うといった点で将来の循環器病発症抑制とも密接に関連しているものと考えます。