2023年3月10日(金)~12日(日)「第87回日本循環器学会学術集会」にてK-ACTIVEより発表がございました。
【シンポジウム】
1⃣茅ヶ崎市立病院 児玉 翔先生
Impact of total ischemic time on clinical outcome in STEMI patients calling for Ambulance within 30 minutes of onset: from K-ACTIVE
【一般演題】
2⃣横浜市立大学市附属市民総合医療センター 桐ケ谷 仁先生
Benefit of the Combination of High-Volume Hospital and Prehospital ECG on Door-to-reperfusion Times in ST-elevation Myocardial Infarction with Cardiogenic Shock
●概要:再還流療法を行った心原性ショックを対象とし、病院前心電図の施行とハイボリュームセンターでの治療が再還流時間、30日死亡と関連するかを検討しました。病院前心電図は再還流時間を短縮しましたが死亡率の有意な改善には寄与しませんでした。一方ハイボリュームセンターでの治療は再還流時間、死亡率いずれも有意に改善しました。病院前心電図とハイボリュームセンターで4群に層別化しますと、いずれも有する群で最も再還流時間は短く、死亡率は低下しておりました。ハイボリュームセンターでの治療に、病院前心電図を加えることで予後改善に寄与する可能性が示唆されました。
3⃣新合ヶ丘総合病院
1.土方禎裕先生:Clinical Outcomes of Acute Myocardial Infarction in the Left Circumflex Artery: Comparison of TIMI Scores – K-ACTIVE Registry
●概要:回旋枝領域の心筋梗塞における、冠動脈閉塞とST変化の有無について、再灌流時間や予後に対する解析を行いました。
回旋枝領域は心電図変化が起こりにくいとされており、現行のST変化に基づく緊急カテーテル治療の適応判断は十分ではない可能性があります。今回の研究では冠動脈閉塞があるかどうかよりも、ST変化が予後に与える影響が大きいことがわかりました。また冠動脈閉塞のみの症例において、再灌流時間による予後改善効果は示すことができませんでした。よって今回の結果からは現行の基準が妥当と考えられます。
2.福島 琢先生:Clinical Impact of Malnutrition with Acute Myocardial Infarction in young patients from Kanagawa-Acute Cardiovascular Registry (K-ACTIVE)
●概要:(背景)急性心筋梗塞(AMI)患者において、アルブミンと体格指数(BMI)を用いた老人栄養リスク指数(GNRI)が予後不良と関連することがいくつかの臨床研究により報告されている。GNRIは高齢者集団にとって貴重なツールであるが、若年AMI患者の予後に対するGNRIの影響については明らかにされていない。本研究では、神奈川県急性心血管病登録(K-ACTIVE)の若年AMI患者を対象に、GNRIの予後への影響を評価することを目的とした。(方法)K-ACTIVEは、神奈川のAMI患者の心血管イベントに関する地域ベースの前向き調査である。2015年10月から2022年7月までに登録された11664人の患者を検討した。このうち4151人(35.7%)は若年者であった。アルブミンとBMIの両方が利用可能な2770人の患者を登録した。患者を低GNRI群(GNRI<92;n=145)と高GNRI群(GNRI≧92;n=2725)に分けた。両群の30日死亡率の発生率を、傾向スコアマッチング解析により比較した。(結果)低GNRI群の患者は高GNRI群の患者と比較してKillip classが高かった。また、低GNRI群では年齢と血液透析の割合が高かった。 30日全死亡率は低GNRI群で有意に高かった(HR=3.2, 95%CI 1.74-5.94, p<0.001)。傾向スコアマッチング後、30日全死亡率は同等であった(HR=0.59, 95%CI 0.27-1.32, p=0.20).(結論 )若年心筋梗塞患者を対象としたこの大規模観察解析では、低GNRI群に重症患者が多かった。しかし、調整後、低GNRIは若年AMI患者における不利な転帰とは関連しなかった。
4⃣昭和大学藤が丘病院
1.森 敬善先生:Impact of Chronic Kidney Disease Stage on Clinical Outcome of Acute Myocardial Infarction from K-ACTIVE registry
●概要:AMIの30日よごはCKDstage進むごとに段階的に悪化するという確認でした。
2.曽根浩元先生:Impact of CK-elevation in Patients with ST-elevation Myocardial Infarction and Non-ST-elevation Myocardial Infarction from kanagawa-acute cardiovascular registry (K-ACTIVE)
●概要:現代のトロポニンベースの急性心筋梗塞の診断においてクレアチニンキナーゼ上昇の有無よるST上昇型心筋梗塞(STEMI)と非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)の臨床像、30日後の主要心血管イベントを評価した。CK上昇を伴わないNSTEMI群は最も死亡率が低かったが、CK上昇を伴う NSTEMI群はSTEMI群と短期予後の差は認めなかった。NSTEMIでは多枝病変や心筋梗塞の既往、併存疾患がSTEMIに比べて多く予後に起因した可能性がある。
3.田代一真先生:The Impact of Hospital Arrival Time On Characteristics of Patients with ST-elevation Myocardial Infarction, -Report from K-ACTIVE Registry-
●概要:急性心筋梗塞で救急搬送された患者の転帰を病院到着時間毎に比較した。 時間は4時間毎の6群に分類した。病院到着時間によって、再灌流までの時間や死亡率に差を認めた。今後、こういったデータを基に医療従事者の勤務形態やシフトを検討することも必要であると感じた。